顔を物で隠している写真の中で「被写体がカメラをこちらに向けている」という構図は、かなり平凡な部類に属する。
この種の写真を集めようと思えば、おそらく相当な枚数が集まるであろう。
一万枚か。
十万枚か。
それとも何億枚か、何兆枚か?
だんだん何枚でもよくなってきた。
この写真は、その中でもとりわけ「顔のない美女」度が高い一枚である。
髪の長さ、カメラを持つ手つき、爪の色、ダブダブした袖口、セーターの模様、背景の色、影、落ち着いたトーンなど、全てが合わさることによってカメラの向こう側の美女を思わせる。