お尻は鑑賞用の部位としてはかなり人気が高い。
しかしその反面、お尻の持ち主にとっては実用的なクッションでもある。
従って、お尻は飾られることが少ない。
むしろ、覆いを剥ぎ取られる運命にある。
常に引き算される、受身の部位である。
これに対して胸は、飾りを付けやすい。
諺に「江戸の敵を長崎で討つ」とあるように、
お尻を装飾品で満たすことのできない恨みを胸で晴らそうという、腹積もりであろうか。
胸はまた首に近い部位でもある。
首の延長線上に胸がある。
首飾りとはつまり、胸も飾る「胸飾り」を兼ねてもいる。
胸を隠す腕そのものが美しく、華美であるという例もある。
さらにまた、
自然の美が胸元に美を添える例もある。
優しくたおやかな自然の美。
先生!生まれ変わったら蝶々になりたいです!
と叫びたくなるほどの美しさである。
……とは言うものの人工的な美も、自然の美も、共に分け隔てなく公平に称えてゆくのが当図鑑のポリシーである。