半年ほど前にも「山羊」という回があるので、今回が二度目の登場となる山羊である。
前回の「山羊」の写真は、当図鑑の名品の数々の中でも、ひときわの輝きを放つ逸品である。その時にも思ったことだが、山羊は大人しいようで野性味がある。
特に頭骨を顔の前に持ってくる、または被る形での正面図となると、不穏では済まない、禍々しい妖しさまで帯びてくる。
まさにこのような、黒魔術的な世界の住人を思わせる扮装である。
調べてみたところ、Wikipediaの「山羊」の項目で次のような解説を見つけた。
悪魔のイメージとヤギ
新約聖書(マタイによる福音書)では、ヤギを悪しきものの象徴として扱うくだりがある。ヨーロッパのキリスト教文化においては、ヤギには悪魔の象徴としてのイメージが強いが、これは、ギリシャ神話のパンやエジプト神話のアモンのような山羊神、あるいは、祭司が角のついた仮面をかぶって獣の扮装をして踊り、豊穣な獲物を願うような素朴なシャーマン信仰における森林神等、キリスト教の公教化とともに駆逐された先行宗教の、邪神化された“異教”神たちのイメージから来たものであろう。ここからやがて、バフォメットのようなヤギ頭の悪魔が考え出され、悪魔崇拝者が好んでヤギの仮面をかぶったりする。また、中世では、悪魔の化身としてのヤギに乗って空を飛ぶ魔女の版画などもある。
古くはイソップ寓話にも見るように、オオカミなどに食べられる被捕食者としての弱々しいイメージをもつが、その一方で、中国では、角の形から、ねじくれた性格の象徴にもなっている。
つまり、キリスト教以前の先行宗教の神と、それ以降に邪神化されて「悪」の印象を背負わされた山羊のイメージと、二種類があるということらしい。
しかし、どうしてもこの種の儀式のイメージが強すぎるので……、
このくらいの高いレベルで、顔のない美女オーラが放射されていないことには、安心できないのである。