……一時は俺も、クイズ「ピンボケでSHOW」の解答者として、
人気を博した時代もあったっけなあ。
あの頃は芸能界全体で、
「映画監督なのに、間抜けで何だかよくわからない答を連発する」
っていうポジションが、たまたま空いてたからなあ。
ピンボケ映画だって、
たまたま、
最初の一作だけ、そこそこヒットしたっていうのが運の尽きだったのかもしれないなあ。
それで薬に手を出したばっかりに、
もう日本にもいられなくなっちゃってなあ。
放浪に放浪を重ねた挙句、
こんな砂漠に辿り着いちゃったしなあ。
ん?
あの後ろ姿は……。
もしや、ピン小の女の校長先生?
まさかね……。
でも……、
「さあ、何を躊躇っているのですか?すっかりピンボケになってしまったあなたの人生と、そして世の中を変えてゆくのです」
えっ!そんな……!
「共にこの、砂漠のピンボケ共和国で、革命を起こすのです」
何という……!
「心の眼で、真実を見つめるのです!」
……!!
(ナレーション)
やがて二人の背中は点となり、砂漠の果てへと消えていった。その後の二人の消息は杳として知れない――。