昔の忍者物のドラマや映画においては、忍術を表現するのにフィルムの逆回しや上下反転といったテクニックがよく使われていた。
その手の場面には妙な違和感があって、子供の目で見ていてもすぐにそれと気づくことが多かったように思う。
写真もそれと同じで、上下の方向が逆になっているとすぐに分かる。
冒頭の写真をよくよく見ると、右側の水面は本来「上」になるべき面である。
つまり、地球の中心に向かう引力の矢印を書くとすると、この写真の場合は右から左の横向き(←)になるのだ。
太陽の光も当然、上から来るのでこういう向き(←)である。
……と気づくまでに、かなりの時間を要した。
上下反転と違って、90度傾けるというテクニックは手強い。
この写真は、本来の向きとは違うようにあえて「立てる」ことによって、誰もがどことなく感じる妙な違和感を、うまく浮遊感に置き換えてみせている。
【お知らせ】
6月分の記事の写真もすべて修整済みとなり、過去の分は全て手直しが完了しました。サイズが大きく、ピントがはっきりしたものが多いのでお勧めです。
また、8月に「砂」という同じタイトルの回が2回あるので、後の方は「砂まみれ」に変更しています。