真珠で飾られた入れ物を渡される。
しかもハート型である。
これは主観的に、わが身に起きる出来事として考えるとたいへん嬉しい。
客観的に、誰かの身に起こっている出来事として見ると完全に罠である。
浦島太郎が乙姫様から玉手箱を渡された時、鯛や平目たちはどのような目でその光景を見ていたのか。
それが少し分かったような気になる。
「ハートの上の部分の、銀色のスイッチを押してはなりませぬ」
などと念を押されたりしたら、完全に危ない。
しかし危なくても、見え透いた罠でも、死ぬまでエヘラエヘラできるならそれもまた良しである。